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障害者の法定雇用率引上げと雇用時の留意点について

障害者の法定雇用率引上げと雇用時の留意点について
~7月から37.5人以上の事業主が対象に~

 

令和8年7月より民間企業の障害者法定雇用率は、2.5%から2.7%へ引き上げられ37.5人以上の事業主が障害者雇用の対象となります。対象事業主には、毎年6月1日時点での障害者雇用状況のハローワークへの報告や、障害者の雇用の促進と継続を図るための「障害者雇用推進者」の選任(努力義務)が求められます。

障害者を雇用するにあたっては、企業規模にかかわらず障害者雇用促進法により障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務が定められていますので、その内容を確認しておきましょう。

1. 障害者に対する差別の禁止

募集・採用、賃金、配置、昇進などの雇用に関するあらゆる局面で、障害者であることを理由とする差別が禁止されています。

(1)募集・採用時

・単に「障害者だから」という理由で求人への応募を認めないこと

・業務遂行上必要でない条件を付けて、障害者を排除すること

※積極的な差別是正措置として、障害者を有利に取り扱うことは、禁止される差別には該当しませんので、障害者のみを対象とする求人(いわゆる障害者専用求人)は、可能です。

(2)採用後

労働能力などを適正に評価することなく、単に「障害者だから」という理由で、異なる取扱いをすること。

例:賃金を引き下げること、低い賃金を設定すること、昇給をさせないこと

研修、現場実習をうけさせないこと

食堂や休憩室の利用を認めない など

2. 合理的配慮の提供義務

障害者が職場で働くに当たっての支障を改善するための措置を講ずることが、義務付けられています。

但し、事業主にとって過重な負担にならない範囲でそれらの措置を行うこととされています。

(1)募集・採用時

・視覚障害がある方に対し、点字や音声などで採用試験を行うこと

・聴覚・言語障害がある方に対し、筆談などで面接を行うこと

(2)採用後

・肢体不自由がある方に対し、机の高さを調節することなど作業を可能にする工夫を行うこと

・知的障害がある方に対し、図などを活用した業務マニュアルを作成したり、業務指示は内容を明確にしてひとつずつ行なったりするなど作業手順を分かりやすく示すこと

・精神障害がある方などに対し、出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること

合理的配慮については、障害の内容、状態や職場の状況などによっても求められるものが異なりますので、具体的にどのような措置をとるかについては、障害者と事業主とでよく話し合い決めることが必要です。

また、厚生労働省が「合理的配慮指針事例集」を提供していますので、参考にしてみるのもよいでしょう。

 

厚生労働省が、6月19日に公表した「雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等実績(令和7年度)」では、ハローワークに寄せられた障害者差別および合理的配慮の提供に関する相談は631件で前年度比44.1%増となっています。そのうち509件は、合理的配慮の提供に関するもので「上司・同僚の障害理解に関するもの」や「相談体制の整備、コミュニケーションに関するもの」が多かったとのことです。

障害の内容や状態は障害者一人一人違い多様かつ、個別性が高いものなので、まずは障害者と事業主とでよく話し合い理解を深めたうえで、合理的配慮の措置などを決定し定期的に見直しを行っていくことが重要だと思います。

 

出典:障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について.pdf

合理的配慮指針事例集 .pdf

障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等実績|厚生労働省

以上

 

 

執筆者  谷町 ハジメ(ペンネーム)

大学卒業後、服飾雑貨の販売に従事。労務管理に興味を持ち社労士試験に挑戦。
平成16年に社労士資格取得。その後、約20年にわたり、人事・労務管理の業務に携わっている。