Column

コラム

  1. Home
  2. /
  3. コラム
  4. /
  5. 2025年4月改正事項に向けて今から準備しておきたいこと

2025年4月改正事項に向けて今から準備しておきたいこと

2025年4月改正事項に向けて今から準備しておきたいこと

来年度2025年4月から施行される労働・社会保険等に関する改正法がいくつかあります。

その対応には検討や改訂作業に時間がかかるもの、対象者に事前に説明が必要なものもあります。直前になって慌て始めることが多い筆者の自戒の念も込めて今から準備しておきたい改正事項を3つ取り上げます。

 

1.育児・介護休業法

改正概要とその対応は下記のとおりです。特に(4)その他_②③は対応方法の検討に加え個別の周知・意向確認のための資料作成や社員への周知作業があるため早めの準備が必要です。

 ※厚生労働省HPでは、育児・介護休業等に関する規則の規定例などが掲載されていますので参考にしながら準備を進めていくのが良いでしょう。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html

 

(1)導入等の検討が必要な改正項目(導入する場合は就業規則等の変更が必要)

① 短時間勤務制度(3歳未満)代替措置にテレワーク追加

② 育児のためのテレワーク導入(努力義務)

③ 介護のためのテレワーク導入(努力義務)

(2)就業規則等の改訂が必要な改正項目

所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大

(3)就業規則等及び労使協定の改訂が必要な改正項目

① 子の看護休暇の見直し

② 介護休暇を取得できる労働者の要件緩和

(4)その他

① 育児休業取得状況の公表義務適用拡大・・・・従業員数300人超の企業に公表義務

② 介護離職防止のための雇用環境整備

③ 介護離職防止のための個別の周知・意向確認等

 

2.次世代育成支援対策推進法

(1)2025年3月31日までとなっていた法律の有効期限が2035年3月31日まで延長(5/31施行済)

⇒2025年3月31日までの一般事業主行動計画を作成している会社は2025年4月以降の計画を策定     し、労働局へ届出が必要。

(2)育児休業取得等に関する状況把握・数値目標設定が義務化

⇒育児休業取得等に関する状況把握を行い一般事業主行動計画に数値目標の設定が必要。

 

3.雇用保険法_高年齢雇用継続給付の支給率変更

高年齢雇用継続給付とは、60歳到達等時点に比べて賃金が75%未満に低下した状態で働き続ける60歳以上65歳未満の一定の雇用保険一般被保険者に支給される給付です。

<改正概要>

60歳に達した日(その日時点で被保険者であった期間が5年以上ない方はその期間が5年を満たすこととなった日)が、

①2025年3月31日以前の方:各月に支払われた賃金の15%従来の支給率)を限度として支給

②2025年4月1日以降の方 :各月に支払われた賃金の10%変更後の支給率)を限度として支給

定年退職後に再雇用される方々に雇用保険より支給されており、再雇用後の賃金に加えこの支給額も踏まえて60歳以降の生活を計画される方も多いと思いますので、支給率が変更となる2025年4月以降に60歳になる社員に対しできる限り早く説明をしておくのが望ましいでしょう。

説明の際には下記パンフレットを用いて行うのが簡便で正確です。

https://www.mhlw.go.jp/content/001328827.pdf

執筆者  谷町 ハジメ(ペンネーム)

大学卒業後、服飾雑貨の販売に従事。労務管理に興味を持ち社労士試験に挑戦。
平成16年に社労士資格取得。その後、約20年にわたり、人事・労務管理の業務に携わっている。