地域別最低賃金(全国加重平均額)は、51円引上げの1,055円へ
~2030年代半ばまでに1,500円に引上げ⁉~
2024年8月29日に厚生労働省より地方最低賃金審議会が答申した令和6年度の地域別最低賃金の改定額が公表されました。改定額は手続きを踏んだ上で10月1日から11月1日までの間に順次発効される予定です。
<厚生労働省が取りまとめた地方最低賃金審議会の答申のポイント>
✓ 47都道府県で、50円~84円の引上げ
(引上げ額が84円は1県、59円は2県、58円は1県、57円は1県、56円は3県、55円は7県、54円は3県、53円は1県、52円は2県、51円は6県、50円は20都道府県)
✓ 改定額の全国加重平均額は1,055円(昨年度1,004円)
✓ 全国加重平均額51円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額
✓ 最高額(1,163円)に対する最低額(951円)の比率は、81.8%
(昨年度は80.2%。なお、この比率は10年連続の改善)
出典:厚生労働省_報道発表資料「全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました」
令和5年度最低賃金額答申|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
<最低賃金の今後は?>
6月21日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2024 ~賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現~」(骨太方針2024)の中で、賃上げの促進に関し「2030年代半ばまでに1,500円となることを目指す目標のより早期の達成」、「今後とも、地域別最低賃金の最高額に対する最低額の比率を引上げるなど、地域間格差の是正を図る。」と記載されています。
「2030年代半ばまでに1,500円」ということは、あと10年程度で500円引上げるということなので、今後も50円程度の引上げはあると覚悟しておく必要があります。
また、今年度の引上げ額トップの84円は徳島県、59円は岩手県、愛媛県、58円は島根県と続きます。
骨太方針に「地域間格差の是正を図る」とあり今後も地方の上昇幅は大きくなることが予想されます。
<今後の課題>
高卒初任給の最低賃金割れが懸念されますので、賃金制度の見直しが必要となります。
最低賃金割れしない給与月額は下記のとおりですが、特に中小企業では②に当てはまる会社が多いと考えられ、東京都の場合10月以降20万円以上の賃金でないと最低賃金割れを起こしてしまいます。
また、来年以降も50円程度引上げが続くと毎年8,200円~8,700円程度、賃金月額が増加することも踏まえておかなければなりません。
- 東京都:月間平均所定労働時間が4時間(年間休日120日、1日の所定労働時間8時間)の場合
2023年10月_181,865円⇒2024年10月_190,035円 【増加額:8,170円】
- 東京都:月間平均所定労働時間が4時間(年間休日105日、1日の所定労働時間8時間)の場合
2023年10月_192,995円⇒2024年10月_201,665円 【増加額:8,670円】
賃上げを可能にするため生産性の向上や経営の効率化による収益の確保が今後ますます求められることは当然ながら、今後の採用や人材活用戦略を踏まえ賃金制度(賃金カーブ)の在り方を見直すことは不可欠で、避けては通れないと考えられます。