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介護休業制度を見直してみませんか?

介護休業制度を見直してみませんか?

~育児介護休業法の改正案が国会で審議されています~

 

少子化問題、女性活躍の推進、離職対策などの観点から育児休業制度は頻繁に法改正が行われ育児と仕事の両立のための就業環境の整備が進められてきています。男性の育児休業取得促進を目的とした「産後パパ育休」の創設は記憶に新しいところであり、育児休業制度の説明や意向確認などに取組まれていると思います。

また、新たな改正育児介護休業法案が2024年3月12日に国会に提出されており可決された場合、大部分は2025年4月1日に施行されることとなるようです。

<育児休業制度に関する改正案の概要> 出典:厚生労働省

① 3歳以上の小学校就学前の子を養育する労働者に関し、事業主が職場のニーズを把握した上で、柔軟な働き方を実現するための措置を講じ、労働者が選択して利用できるようにすることを義務付ける。

② 所定外労働の制限(残業免除)の対象となる労働者の範囲を、小学校就学前の子(現行は3歳になるまでの子)を養育する労働者に拡大する。

③ 子の看護休暇を子の行事参加等の場合も取得可能とし、対象となる子の範囲を小学校3年生(現行は小学校就学前)まで拡大するとともに、勤続6月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止する。

④ 3歳になるまでの子を養育する労働者に関し事業主が講ずる措置(努力義務)の内容に、テレワークを追加する。

⑤ 妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前に、労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向の聴取・配慮を事業主に義務付ける。

 

この法改正案には「介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等」を目的とし介護休業制度に関しても下記が盛り込まれています。

① 労働者が家族の介護に直面した旨を申し出た時に、両立支援制度等について個別の周知・意向確認を行うことを事業主に義務付ける。

② 労働者等への両立支援制度等に関する早期の情報提供や、雇用環境の整備(労働者への研修等)を事業主に義務付ける。

③ 介護休暇について、勤続6月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止する。

④ 家族を介護する労働者に関し事業主が講ずる措置(努力義務)の内容に、テレワークを追加する。

 

2022年に発表された総務省の調査によりますと、介護をしながら働く人は、およそ365万人とこの10年で70万人余り増加していて、「介護離職」をする人は年間およそ10万6,000人に上っており、この状況は大手メディアでも報じられました。

高齢化社会が進む今、誰にでも起こりえるのが介護であり一部の方は介護離職を余儀なくされるのが現状です。

介護離職は社員のみならず、会社にとっても人手不足の現状、ベテラン社員を失うことは経営に大きなダメージを与えます。家族の介護に直面することが多い40~50代の社員に対し会社ができる「仕事と介護を両立するための支援」について改めて見直し対策の検討を行い、対処できるよう準備を始めてはいかがでしょうか。

参考資料 マンガでわかる!介護休業制度(令和4年11月作成)出典:厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001006098.pdf

「知っておきたい 育児・介護休業法(介護編ダイジェスト版)」出典:厚生労働省

https://www.youtube.com/watch?v=c0j0CqXImhU

執筆者  谷町 ハジメ(ペンネーム)

大学卒業後、服飾雑貨の販売に従事。労務管理に興味を持ち社労士試験に挑戦。
平成16年に社労士資格取得。その後、約20年にわたり、人事・労務管理の業務に携わっている。