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岡部の訓示 第7回 「思い出の腕時計」

17日間の熱戦が続いた東京2020オリンピックが閉幕しました。
コロナ禍において、開催に当たっても、無観客にするか否かについても色々な意見があったように思いますが、私個人としては夢中でテレビに噛り付いていましたし、色々な感動をもらいましたので、開催できて良かったという思いです。
特に、野球では広島カープの選手が活躍する姿を見て、大のカープファンだった亡き父にもこの雄姿を見せてやりたかったと思いました。

オリンピックにおいて個人的に興味を持っているのが、オフィシャルタイムキーパーをどこの時計メーカーが担当するかです。
過去には『ロンジン』、『ホイヤー』、『セイコー』等が選ばれていますが、最も多く選ばれているのは『オメガ』で、今回の東京2020オリンピックもそうですし、2032年まではIOCとパートナーシップを結んでいるようです。詳しい事情や理由はわかりませんが、実績、実力とも本物であることに間違いはないのだと思います。そして、『オメガ』と聞くと、いつも小学生の頃のことを思い出します。

私が小学4年生のとき、父が欧州旅行に行き、家族全員に『オメガ』の腕時計を買ってきました。小学4年生にとって、『オメガ』の腕時計の価値を理解できるどころか、腕時計に全く興味がなかったので、一度もすることなく、どこかに放置したままでした。
大学入学で上京する際、部屋を片付けていたところ、その時の腕時計が出てきて、衝撃を受けました。シンプルで、お洒落・・・その時の印象です。
残念ながら、その自動巻きの腕時計は全く動かず、その時はまた、机の中に仕舞い込んでしまいましたが、社会人になって、それを時計店に持っていき、「修理できますか?」と聞くと、「相当古い時計だから、部品がないかもしれませんが、問い合わせてみます。」ということで、預かって貰いました。後日3万円で修理可能という連絡を受け、半分諦めていたこともあったので、迷うことなく「お願いします。」と返答したのを覚えています。そして、よみがえったその腕時計を手にした時から私の腕時計コレクションがスタートしました。といっても高級時計を集めることではなく、色、デザイン、機能性等お洒落な時計に出会うと欲しくなるというもので、ピーク時には30個以上持っていました。

今から50年前に父親がスイスで買ってきてくれたあの『オメガ』の腕時計も、10年以上使用していましたが、今は歳を取りすぎたのか、止まったままです。
ただ、今でもシンプルでお洒落な姿は変わらず、私にとって亡き父との思い出でもあり、ある意味形見だと思っていますので、いつまでも持っておきたいと思います。
皆さんの中にもこうした思い出や宝物があるのではないでしょうか。
思い出が風化しないように、いつまでも大切にしてください。