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日雇派遣等 今後の派遣の在り方について

労働者派遣法の改正の中でも記憶に新しいのが、段階的かつ体系的な教育訓練、事業所単位と組織(個人)単位という二つの期間制限、雇用安定措置等が設けられた平成27年法といわれる改正派遣法で、その3年前には、民主党政権時代に日雇派遣等が禁止された平成24年法というのがあります。
平成24年改正と平成27年改正の項目を精査し、見直し等検討していくために審議を進めている労働政策審議会労働力需給制度部会が、5月27日、6月9日に続き、6月17日にも実施されました。当該部会においては13の検討項目の精査が予定されています。
13の点検項目のうち、5月27日に精査されたのが以下の4項目です。
1.許可制
2.初回許可の有効期間
3.教育訓練・相談機会の確保
4.マージン率などの情報提供

また、6月9日には以下の3項目が精査されました。
1.派遣期間制限
2.雇用安定措置
3.労働契約申し込みみなし制度

そして、今回6月17日に精査されたのが、以下の4項目で、この日の4項目の精査終了で、残りは「法令違反を繰り返す派遣元の公表」「派遣先の団体交渉応諾義務」の2項目となっています。
1.日雇い派遣原則禁止
2.離職後1年以内派遣禁止
3.グループ企業内派遣8割規制
4.(事前面接など)特定目的行為禁止
この日の検討項目である「日雇い派遣原則禁止」「離職後1年以内派遣禁止」「グループ企業内派遣8割規制」「(事前面接など)特定目的行為禁止」の4項目すべてにおいて、使用者側からは「緩和・撤廃」、そして労働者側からは「維持・強化」を求める意見があがりました。

特に注目度の高い「日雇い派遣原則禁止」では、使用者側からは、原則禁止そのものの撤廃までは求めないながらも、現行規定の緩和と弾力化を主張する以下のような意見が出されました。
1.短期の労働力のニーズは確実にあり、日雇い派遣と日々紹介は企業にとって有用な選択肢だ
2.例外業務として追加する業務と業種を検討すべき
3.500万円以上という要件の根拠が乏しく、引き下げか撤廃が必要
それを受け、労働者側は「原則禁止は維持すべきで、例外業務も拡大は認められない。年収要件も変える必要性がない」と、従来の姿勢が繰り返えされました。
日雇派遣については、今後、『例外業務の在り方』『年収要件の在り方』『雇用管理の在り方』『短期の労働力需給調整に係る規制の在り方』に関し、どう考えるかについて検討されていく予定のようです。
<日雇派遣の例外業務の在り方について>
1.日雇派遣の実績は、倉庫・運搬・流通加工、物の製造、一般事務、販売、イベント運営、接客・ 給仕などで多い。
2.短期の人材確保ニーズは派遣先企業の1割程度で見られ、そのうち4割程度が日雇派遣の活用を希望している。ニーズの多い業務は、日雇派遣の実績の多い業務と同様の傾向である。
3.短期の就労ニーズは個人調査回答者の3割弱で見られ、そのうち2割程度が日雇である。
4.派遣での就労を希望している。ニーズの多い業務は、日雇派遣の実績の多い業務に加え、試験監督、選挙補助等が多くなっている。
5.福祉及び介護施設における看護業務については、規制改革実施計画(令和元年6月21日閣議決定)を受け特別に実施した日雇派遣に関するニーズ等の実態調査を踏まえる必要がある。

これらの状況を踏まえ、日雇派遣の例外業務の在り方について、どう考えるか。
<日雇派遣の年収要件等について>
1.年収要件の確認が適切に行われていない実態が一部に見られること。
2.年収要件が理由で日雇派遣で働けなかった者は、個人調査回答者の約1割であること等を踏まえ、日雇派遣に係る年収要件の在り方について、どのように考えるか。

<日雇派遣に係る雇用管理等の在り方について>
1.雇用期間1ヶ月超の派遣と比較して日雇派遣の場合の就業場所の巡回状況が低いこと。
2.前日又は 当日に仕事がなくなった場合にも特段の対応がなかったとの回答も一部見られたこと等を踏まえ、どのように考えるか。

<短期の需給調整について>
現行制度上、日雇派遣は原則禁止とされている一方で、日雇紹介や日雇での直接募集は可能であることも踏まえ、短期の労働力需給調整に係る規制の在り方について、どう考えるか。
また、次回6月26日の会合で全項目に対する労使双方の見解が一巡する見通しで、これまでの議論で浮き彫りとなった課題や論点を整理する方針のようです。
ただ、今回は法改正というより、政省令の改正に留まる議論が予想されています。